シューリヒトの影響を受けたヤルビ指揮のブルックナー交響曲第七番
パーボ・ヤルビの円熟は只者ではないと思っていると、やはりシューリヒトの多大な影響がありました。なるほどと納得できる名演でした。ブルックナー交響曲第七番は次世代に継承される伝承芸を得たわけです。
今夜のNHKFMのN響定期公演ライブは、パーボ・ヤルビ指揮ブルックナー交響曲第七番の演奏でした。(2020・2・15)
第一楽章。
3-23小節までチエロの音しか聞こえないのが凄い。25小節になってフルートが聞こえだした。ホルンやクラリネットの音を抑えているのだ。
さて122小節のトランペットでヤルビはリタルランドを掛けてテンポを落とした。これはシューリヒト(ハーグ・フィル)の影響である。
シューリヒトと言えば久しく第七番の決定盤と評価された名演奏であった。なるほどヤルビもシューリヒトの解釈を借りたかといえば、肯けるのである。
ところで161小節のホルンであるが、p記号になっている。シューリヒトはこれをfで強奏しているのであるが、またまたヤルビがfで強奏した。
pがfになっているわけだから、結構誰にも変な音がしたなと感じられる。それで気が付いた人もいるのではないか。
ともあれ巨匠の衣鉢を継ぐ、というのは見上げた根性で、ヤルビを見なおした。
第二楽章。
132小節の木管楽器で、ヤルビはリタルランドを掛けてテンポを落とさせた。
これは諸大家に例がなく、ヤルビのオリジナルな解釈と見た。評価したい。
131小節のritard.の記号を1小節ずらした解釈と見なすことができよう。
176-177小節だが、例のシンバルの演奏がある場所で、その前でマタチッチ(チェコ・フィル)は大胆なリテヌート(テンポを落とす)をしているのだが、ヤルビ指揮N響の演奏もそうしていた。
シンバルの強打の前で、金管の2つの16分音符がリテヌートされるので、その効果の絶大なことは筆舌に尽くし難いものがあった。
ここの演奏が今夜の演奏の胆だったといえよう。
第三楽章。
67-68小節のテンパニーをシューリヒトはクレッシェンドを掛けているが、ヤルビは同所の金管をffで強調させていて、ここは同工異句とみなしたい。つまりシューリヒトのヤルビへの影響と見たい。
フィナーレのコーダの締め括りだが、もう一工夫があったらいいな。
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