ドビュッシー交響詩「海」パスカル・ベロ指揮仙台フィル
アガサ・クリスティーのポアロ物に、ジャップ警部が引退になったらフランスのアルルに住みたいものだと言うと、食い物が合いませんぞ、と反撃する。よほど秋山和慶の「海」の方が洗練されていて、うまい。パスカル・ベロの演奏はフランスのローカル色が出ている。これを是とすれば、限りなくフランス的でこの上ない演奏ということになる。しかしポアロがあなたの舌に合えば、という留保が出てくる。微妙な問題であろう。
今日の名演奏は、パスカル・ベロ指揮仙台フィルでドビュッシーの交響詩「海」の演奏であった。(2006・10録音fonticFOCD9296)
第一楽章。
冒頭のテインパニのpppは、次のハープのppという関係があって、ほとんどテインパニの音が聞こえないで、ハープの音から始まるようだ。それほどテインパニが弱音に抑えられている。これは欠点だろう。
次に、練習番号1の前2と、1のトランペットで、パスカル・ベロは2つのテヌート記号の付いた音符を、タイ記号を付けて、一つの音の塊として演奏させている。これは凄い演奏だ。初めて聞く演奏だ。
これが所謂フランスのローカル色なのかも知れない。フランス人だけが知っている特色なのかも知れない。
8の6-9小節のテインパニの加筆もあり、初版を使用している。
第二楽章。
コーダの42の7-8小節のフルートで、伝統的にラレンタンドしてテンポを落としていた。
これも伝統的、フランス色ならではの演奏と言える。
第三楽章。
49の10小節のファゴットで、ミユンシュボストン響と同じリテヌート(テンポを落とす)という伝統的な手法を使っていた。
コーダの盛り上げにいささか欠いていたのが残念だった。しかしパスカル・ベロの独特の解釈もあったわけで、これを是としよう。
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