パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

驚くべきモーツアルト指揮者の出現バンクロフトのプラハ

アメリカの指揮者ライアン・バンクロフト(1989-)は、ニコライ・マルコ指揮者コンクールの優勝者ということらしい。それにしても驚くべきモーツアルト指揮者が出現したものだ。プラハでこれほどユニークな解釈をした人は稀であろう。


今夜のベストオブクラシックは、ライアン・バンクロフト指揮スエーデン放送交響楽団でモーツアルト交響曲38番プラハの演奏であった。(2019・10・25)


第一楽章。
ぱっとしない凡様な演奏ではじまったが、92小節のバイオリンでppの弱音になり93小節でfに転じたところで俄然個性が発揮された。

この人は凡様でないという演奏の輝きがあった。今後の演奏の醍醐味が予感された。


240小節のテインパニのトレモロもsfが掛けられて意欲満々な演奏だった。


第二楽章。
18小節のホルンで、楽譜は全編fなのだが、バンクロフトは前半と後半に分けて、後半は楽譜にないppの弱音で演奏させたのである。

ここ全体をクレッシェンドで吹かせたのはベーム指揮ウィーン・フィルの演奏である。あえて奇をてらっているのがバンクロフトである。


93小節のホルンで、下降音型にラレンタンド(徐々に遅くする)を掛けたのが、クーベリック指揮バイエルン放送響とバンクロフトであった。

ここら辺の演奏でもバンクロフトのモーツアルト指揮者としての実力振りは十分あったのではなかろうか。