ベートーベン交響曲9番山田一雄指揮日本交響楽団
今夜のクラシックの迷宮は山田一雄の第九の全曲の演奏(1943・1・1)であった。第四楽章の抜粋でお茶を濁されたら、第一楽章は聞けなかったわけだから、さすがにこの番組の見識があったわけだ。
どういうわけか、第一楽章以外は端正な演奏であった。面白かったのがこの第一楽章であった。
213-214小節のrit.atempoの指示のあった箇所。
rit.の掛った3つの16分音符のスタッカートだが、ワインガルトナー指揮ウィーンフィルはここからリタルダンドを掛けてテンポが落ちてゆくのである。山田一雄はスタッカートを強調するだけだ。
300小節の後半は明瞭にリタルダンドが掛けられて間をあけて、301小節のffに入る演奏をしている。
すでに297小節からテンポが落ちていて、300小節の後半で極端にテンポが落ちるのである。ここの演奏が見せ所であった。
506-512小節のテンポのアゴギーク(伸縮)だが、ワインガルトナーを踏襲しているようでいて、彼から離れて個性を出そうともしているようだ。
青色がワインガルトナーの演奏で、緑色が山田一雄である。
第一楽章以外ではそんな演奏はしないのだが。
ともか全曲演奏のため滅多に聞けない第一楽章が聞けて、拾い物があった感のする演奏であった。
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