パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

モーツアルト歌劇「魔笛」序曲ウァイグレ指揮読売響

今夜のブラボーオーケストラはウァイグレ指揮読売響でモーツアルト歌劇「魔笛」序曲の演奏であった。(2019・9・14)


95小節のテインパニをリタルランドしたのには驚かされた。

上記黄緑色鉛筆は、バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの1966年の生演奏の録音である。同じ箇所にリタルランドを掛けたということで、驚いた。


もっともバーンスタインの演奏は三倍四倍遅い94小節フルートをゆるゆるテンポが落ちてくるラレンタンドが掛かり、その上に95小節で階段式のリタルランドでテンポが落ちるという入念な演奏であった。


これはマーラーがニューヨーク・フィルで実演した演奏の記録の再演ではないかと推察したのだが、今回同じコンセプトに再会したわけである。


この頃のバーンスタインは音楽批評界の大御所ショーンバーグと犬猿の仲で、ことごとく対立していた。こういう演奏をバーンスタインはニューヨーク・フィル定期でしていたわけで、いわば後期ロマン主義の演奏様式を実践していた。(彼のマーラーの音楽研究は演奏にも及んだわけだ。)それがショーンバーグの怒りを買った。バーンスタインは活動の場をヨーロッパに移すわけだが、その寸前の演奏である。


さてコーダではちょっとウァイグレがバーンスタインを越えることになった。

ウァイグレは、224-225小節のテインパニにffでアッチェレラントを掛けて、225-226小節で95小節と同じリタルランドを掛けて終えた。


このウァイグレの終わり方がいい。敬服した。