パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

ブラームス交響曲1番飯守泰次郎指揮東京フィル

今夜のブラボーオーケストラは、飯守泰次郎指揮東京フィルのブラームス交響曲1番であった。(2013・12・13)


飯守泰次郎は若い時代にトスカニーニのブラ1の演奏を宝物のように崇拝していたと言う。それがこの演奏だった。8年前は今の大巨匠は未だ誕生せず、であった。その萌芽は随所に発見出来るが、未だ巨匠成らずだ。そういう意味で面白い演奏であった。


第一楽章。


312-320小節のトランペットを浮上させて強調した演奏はトスカニーニ1951年の演奏だが、なるほど飯守も踏襲している。


第二楽章。
88-89小節のコントラバスのアーテイキュレーションは正にトスカニーニそのものであった。

飯守東京フィルは忠実にトスカニーニの演奏をなぞつている。


第三楽章。
65-68小節のホルンの演奏は逆に今日の飯守の大胆な演奏の萌芽が見える。


第四楽章。
167小節のテインパニでmfに、168小節で楽譜通りにfにしているのがトスカニーニで、これを飯守も忠実になぞっている。


334-335小節のテインパニでは楽譜は空間だが、飯守は加筆して打たせている。これは今日に至る道である。


驚くべきは、360-363小節のテインパニの加筆である。

360、362小節のテインパニは、1940、1941、1951年のトスカニーニが加筆して打たせているのだが、飯守はさらに363小節も加筆して打たせている。


この判断はな辺にあるのか興味深い問題である。


前後するが、375-390小節のテインパニの大爆発は今回の演奏にはない。


青春時代には神様であったトスカニーニの演奏を清算して、今日の大巨匠に脱皮する過度的な演奏であった。