ブルックナー交響曲8番ドホナーニ指揮NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団
近年稀に見る名演であったといえよう。全編隅々までブルックナーの音がした。第4楽章はノバーク版にハース版を取り入れた巧妙な細工がしてあって、ドホナーニの精密な考えに触れるおもいであった。
今夜のベストオブクラシックは、ドホナーニ指揮NDRエルプフルハーモニー管弦楽団で、ブルックナー交響曲8番の演奏であった。(2018・9・28)
第三楽章。
239小節のシンバルンが挿入された箇所は聴きごたえがあった。
上記のような2倍の遅さにテンポが落とされた。そしてシンバルが2回入っていた。さらに5小節に渡ってテインパニが連打されていたのであるから、相当の迫力があった。
第四楽章。
15小節の金管で、ドホナーニ、マタチッチ、フルトベングラーがディミヌエンドを掛けて音を弱めるという一工夫をしている。
これは29小節の再現でも同様だった。
158小節の後半2つの4分音符に強いリテヌート(テンポを落とす)を掛けたのが、クナッパーツブッシュとドホナーニであった。
今回の8番の名演はドホナーニがクナッパーツブッシュに教えを乞うたのが成功の秘訣であったのではあるまいか。
462小節のリタルランド指定では、マタチッチとドホナーニがリテヌートでテンポを落として、163小節のffのアタッカに臨んだ効果は充分あった。
見事な処理であった。
同工異曲として、622小節のリテヌートの解釈の卓抜さがあった。
ここでリテヌートを掛けてテンポを落としたのはドホナーニ一人であったから、彼の創意ということになろう。もはや巨匠指揮者と呼ばなければならないだろう。
もう一つ、ノバーク版の211、236、566小節などで、ハース版を取り入れていたことに言及しておこう。事実上のハース版を使用した結果になった。
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