パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

ベートーベン交響曲7番小林研一郎指揮東京フィル

なかなか濃厚な解釈が随所に見られたのが第一楽章であった。


今夜は小林研一郎指揮東京フィルの演奏で、ベートーベン交響曲7番の放送であった。(2021・3・26)


第一楽章。
29-32小節の低弦の強調などもめざましいものがあった。43-52小節もやはり低弦が強調されていた。


184-186小節のチェロとコントラバスの深い独特な解釈は、世界に類例のない演奏で、特筆されるものがあった。

楽譜ではppであるが、どうしてもfであろう演奏であった。しかも185小節に入る所でブレス(間)を置くとは、如何なる所存かと聞きたいほど度肝を抜く解釈をした。この一連のフレーズの演奏がユニークで良かったことを伝えたい。


257と260小節のテインパニにクレッシェンドを掛けていたのが、アンセルメ(フランス放送管)とユーロフスキー(ベルリン放送響)と小林研一郎であった。

けたたましいテインパニの強調は過ぎるということがないわけで、この大胆さは生演奏ならではの醍醐味であろう。


277小節のテインパニで、小林は、前半の楽譜通りのfに、後半は明らかにffで打たせていた。この対比によるダイナミックスの格差は格別なものがあった。

小林のfからffへの対比が素晴らしかったことは明白であろう。


300小節のオーボエだが、小林は最初の音符にアクセントないし少し延ばして演奏させた。

小林のエスプリともいうべき遊びであろう。


320-322小節でも小林は面白い演奏を見せた。

321小節でクレッシェンドを開始して、322小節後半でffに高揚する演奏をしたのである。


この人にはまだまだ枯淡の境地は縁遠いようである。大いに暴れて欲しいものだ。