パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

チャイコフスキー交響曲5番飯守泰次郎指揮東京シティー・フィル

オーケストラと指揮者には相性があって、どうも飯守泰次郎の場合は東京シティー・フィルでは上品過ぎた演奏になるようだ。濃厚な解釈や自由奔放は、仙台フィルの場合いが多く、飯守泰次郎を聴くとしたら断然仙台フィルが良いということになりそうだ。


今夜は飯守泰次郎指揮東京シティー・フィルでチャイコフスキー交響曲5番の演奏であった。(2021・1・29)


第二楽章。
ここが演奏の山場となった。
141小節のトロンボーンで、定石通りに飯守は大きなリタルランドを掛けてテンポを落とした。

次に152小節の最後でリテヌート(急にテンポを落とす)という演奏をさせた。

これはまことにユニークな解釈で、ここでそうしているのは飯守泰次郎だけである。
もっとも同様の箇所は、165小節にもあり、他の指揮者でリテヌートを掛けていることはある。
最後に182小節のクラリネットをラレンタンド(次第に遅く)させていた。
飯守の解釈はかなり濃厚なものであった。



第四楽章。
57-66小節のテインパニの解釈もユニークなものであった。

原型は66-66小節の楽譜なのだが、その叩き方を57-58、61-2小節と3回反復してみせた。効果てき面であったのは言をまたない。


しかしこんなユニークな解釈を見せた飯守泰次郎は、どういう理由か以後定石通りの解釈を放棄してお上品になってしまった。


でも最後の結末はリタルランドをかけて終えたのはさすがであった。どうも飯守泰次郎を聴くなら仙台フィルでの演奏というのは間違いない。