驚くべきポルタメント奏法があった鈴木雅明指揮N響のモーツアルト39番
とうとうポルタメント奏法も古楽器奏法に取り入れられたかという感がある。今夜の鈴木雅明指揮N響のモーツアルトは聴きごたえのあった演奏であった。
今夜のNHK交響楽団の定期演奏会生中継は、鈴木雅明指揮N響でモーツアルトの交響曲第39番であった。(2020・10・17)
第一楽章。
冒頭から驚くべき演奏があった。19世紀の情緒てん綿たる質感をかもしだす弦の同一線上で指をずらして奏でるポルタメント奏法があつた。
第一バイオリンの28小節1拍と2拍の4分音符を同一弦で指をずらして演奏するポルタメント奏法が、古楽器奏法の大家鈴木雅明の演奏から聞くとは、思いも及ばないことであった。19世紀の特有の奏法も18世紀に起源があったということか。
これはダカーポや186小節の再現でも確認できた。
252-253小節のクラリネットの解釈も非常に面白かった。いわばクラリネットをカデンツ風に解釈して他の声部から浮かせてfで演奏させた。
これは鈴木雅明の独創的な解釈で、感心した。
第三楽章。
ここも面白い解釈が見られた。
ボルトン指揮ザルツブルグ・モーツアルテウム管弦楽団は、23小節2拍からディミヌエンドにさせて、24小節1拍でpp2拍でmfにするという巧妙なアーティキュレーションをしている。鈴木は2拍でmfかsfといった演奏をした。宇野功芳はアンサンブル・サクラで3拍を4分音符2つにして、テンポをかなり落とした演奏をしている。(2003年)
ボルトンの解釈が出るまでは宇野功芳の解釈はまったく無視された。珍奇な解釈と受け取られた。(むしろ本道の解釈であったわけだ。)三人三様の解釈をしているわけで、ここがモーツアルト演奏の胆になっているわけだ。よくぞ鈴木雅明が個性を出したものだと思う。
第四楽章。
23小節のテインパニで、ボルトンと鈴木雅明は、sfで打たせている。
なかなか含蓄に富んだ演奏であったと言えよう。
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