メンデルスゾーン序曲「フィンガルの洞窟」アヌ・タリ指揮プラハ放送交響楽団
五年前東フィルの第九で来日とは驚きである。メンデルスゾーンの小品でこれだけ勝負するとはさらに驚きである。
今夜のベストオブクラシックはメンデルスゾーン序曲「フィンガルの洞窟」アヌ・タリ指揮プラハ放送交響楽団の演奏であった。(2020・1・8)
19-20小節で、ちょっと珍しい演奏法をアヌ・タリがしていたのが気になった。ロッシーニの序曲で同じ音階の2つの音符を分けて演奏するか、1つ塊に集合させるか、という違いがある。同様のケースだ。
基本的には分けて演奏されているようだが、アヌ・タリはタイを付けて1つ塊にした。如才
無い所を見せつけた。
35-36のバイオリンの演奏のダイナミクスも面白い。
これほどまでに色分けして演奏して見せた指揮者は他にいまい。
それは41-42小節にも言えた。
アヌ・タリは42小節からffになるのを前倒しして41小節からffにして42小節2拍目でpにしていた。その方がffの臨場感が長続きして効果的だ。さすがと言うべきだ。続く45小節のトランペットをfで強奏していた。
95、99、103、108小節のsfでアヌ・タリはかなり神経質に大きな間を与えていて、ふと大野和士がsfの前に必ず間をあけるのを思い出した。好一対だ。
一番興味があったのが、124小節のアヌ・タリの絶妙な泣き節の演奏であった。
感心して聞いていたのだが、どうもアヌ・タリは1番目と2番目の間をポルタメントで演奏させているのではないかという疑惑を持った。どうりで泣くような一種独特のセンチメントの感情が出てくると思った。
以上で十分批評は終えたのであるが、あえて一言、201小節以下クラリネットがテンポを落として演奏するのだが、とりわけ213小節で妙味があった。
213小節の後半で、強いアクセントを付けて演奏させていた。
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