パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

凡人ディユメイ指揮関西フィルのベートーベン交響曲第四番

今までの天才はどこへ行ったのか?天才ディユメイから凡人ディユメイへの豹変ぶりに驚いている。ベートーベンの交響曲第四番は終始おざなりに演奏されて終わったのである。名演を期待していたのだが、残念でならない。


第一楽章。
ディユメイは今音楽に身が入らない事情があるのか、精神がいらだっているようだ。35小節の第一バイオリンの1拍目のアウフタクト(上拍)は、8分休符なのだが、正確と言えば正確なのだが、非常に短く取った。通常はもっと間を取っている。そんなところにも彼は苛立っている事情があるようだ。


おそらく3つの音符をfで演奏させたのであるが、それはいいとしても、ディユメイはfを強調するあまり、急いだのであろう。それが8分休符が短くなった原因だろう。


第四楽章。
311-318小節のテインパニは、ある面ではこの交響曲の見せ場になっているともいえる。
316小節のsf dim. pをどう解釈して演奏させるかが指揮者の力量にもなっている。


カイルベルトなどはsfの前で8小節も連続したテインパニのトレモロ連打を切断して、たっぷり間を入れてsfを強調してから連打に復帰して打たせるのである。これは楽譜にはないが、ドイツの伝統的な解釈にまでなっている。
そこでディユメイは、sf記号は無視してたんなるディミヌエンドにして、音を弱めるだけであった。当然sfの迫力を失ったわけだ。(鬼才ディユメイはどうしたのだ。)


コーダの、348-349小節のファゴットと第二バイオリンのppで弱められた樂想と、一転して350小節のオーケストラのffのアタッカの対比によって壮大に音楽が終わることにも失敗したようだ。


余談だが、ピアニストのピレシュとの結婚生活のことがあって、芸術に身が入らない事情でもあるのか。