パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

比類ない名演スウィトナー指揮NHK交響楽団のベト4番

今改めて聞くと大指揮者だったなと再認識したスウィトナーの演奏だった。ベートーベンの交響曲4番は比類ない名演だった。


今夜はスウィトナー指揮NHK交響楽団でベートーベンの交響曲4番の演奏であった。(1974・12・6)


第一楽章。
この楽章がずば抜けた名演であった。


35小節の弦のcresc.記号の所でfで強く演奏させたのは定石通りだ。128小節辺でfに強奏させたのはスウィトナーの持ち味といえよう。


さて、134小節で、今回の放送で気づいたのだが、スウィトナーのユニークな解釈があった。何度か演奏は聞いていたのだが、そのことに初めて気づいた。


135小節の縦線の上にフェルマータを掛けて、演奏を中止させて、第1拍目にアクセントを付けて演奏させた。それで一瞬演奏が停止した。この人はそんな芸当が出来る人なのだと再認識した。


223小節は、この演奏の頂点を成した。


223小節の第一バイオリンの楽譜には、2分音符に前打音が付いている。


スウィトナーは、4つの4分音符にして演奏させたのである。


これはどうもドイツの古い伝統的解釈のようである。


スウィトナー・カラヤン・ムラビンスキーが同様の解釈をしているのだ。


それで、ムラビンスキーのリハーサルでも、その点が指摘されているのだ。


お願いします。(歌う)・・・このようにお願いします。長前打音です。
(オーケストラからの声)8分音符ですか。4分音符ですか。
4分音符です。(歌う)お願いします。あなたたちも同様に。それから、ここだけの話として権威筋の話をお伝えします。リスクを犯したくありませんが、非常に権威のある筋です。4分音符ですよ。(歌う)・・・はい・・・展開部に行きましょう。


ムラビンスキーが指示しているのは、223小節を4つの4分音符で演奏するということだ。


どうもムラビンスキーが権威筋と言うのは、カラヤンがそうしているから、そうしろと言うことらしい。


彼はウエバーの「舞踊への勧誘」をベルリオーズ編曲ではなく、ワインガルトナー編曲で演奏する人である。多分ロシア訪問時にその楽譜が残されていて、それを使用している。その手で、19世紀にロシア訪問したドイツの巨匠指揮者ビユロウやマーラーの編曲版が残っている可能性はある。


あるいはムラビンスキーの影響は単にカラヤンの影響だけかもしれない。


ところで、スウィトナーの影響は、カラヤンでもなくムラビンスキーでもないと思う。正真正銘のドイツの伝統的解釈で、カラヤンもスウィトナーも同じ出所と解釈する。今はそれが不明。


408小節。



ここは、135小節の再現である。決して気まぐれではなく、楽譜の深い読みがうかがえるのである。


カラヤンもムラビンスキーも4番は名演である。スウィトナーもやはり名演である。


この三人の4番が名演なのは、づば抜けた余人の追従を許さない独自の解釈に裏打ちされているからと確信する。