即興演奏をしたイゴール・レビット、フィッシャー指揮バイエルン放送響のモーツアルト22番
ピアニストと指揮者が丁々発止でボールの投げ合いをする協奏曲は久しぶりである。それだけでこの人の能力があるのだが、それにしてはチャイコの4番は凡演であった。というわけでモーツアルトの22番を取り上げたい。
今夜はイゴール・レビット(1987-)のピアノで、フィッシャー指揮バイエルン放送交響楽団の演奏であった。(2020・1・16)
第一楽章。
さっそくイバン・フィッシャーの異才が現れた。221小節で、オーケストラからピアノに受け継がれる所で、リタルダンドを掛けてテンポを落とした。
一般的にはピアノがカデンツを弾く時、おこなわれる約束事だ。
しかしこの例は珍しい。類例がないとまで言えるであろう。
もっとも前小節のピアノは8分休符が付いているから、3つの音符が連続的に弾かれるというよりは、音が切れているのが予測出来るわけだ。フィッシャーはそう解釈した。
第三楽章。
イゴール・レビットは、35-40小節で、楽譜にない即効演奏をした。
3つの音符にレビットはトリルを掛けて弾いたのである。
こんな演奏をしたのは彼以外にはあるまい。
ちなみに再現部では楽譜通りに演奏した。
再現部では楽譜通りに弾いたということは、明白に前の演奏は速興的なものである可能性がある。
イゴール・レビットは小憎らしいほど才能と茶目っ気があるピアニストなのであろう。
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