パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

どういう理由かカット版リエンチ序曲サワリッシュ指揮NHK交響楽団

どういう理由かカット版リエンチ序曲の演奏がありました。サワリッシュ指揮NHK交響楽団の演奏です。冒頭5小節がカットされていました。理解に苦しみますが、考えられるのは、ステレオ録音に失敗したことです。


今夜はサワリッシュ指揮NHK交響楽団でワーグナー作曲歌劇リエンチ序曲の演奏でした。(1969・2・4-9)


この時代は基本的にはモノラル録音の時代で、ステレオは実験段階でした。アバド、ウィーン・フィルのラジオ放送で、録音に失敗して録音が送られて来なかったというコメントを聞いた覚えがあります。のどかな時代でしたね。たぶんその類なんでしょう。


今では貴重な録音です。


46小節の第一バイオリンで、47小節の全オーケストラが総奏するアタッカの前で、サワリッシュとしては珍しくポコ・リタルランドを掛けました。


後半全体でリタルランドしているのはマタチッチです。さて茶色の色鉛筆は誰か思い出せないのだが、その小規模がサワリッシュです。


60小節のティンパニで、fp記号をワサリッシュは8音符の独立形とした一打をしました。


緑色色鉛筆はクナで、紫色はマタチッチで、ドイツ系指揮者はここで単体でティンパニを一打する伝統があるらしい。たんなるトレモロ・クレッシェンドではないんだ、と。


さて面白かったのが、241小節以降であった。



マタチッチは241-243までラレンタンド(だんだんテンポを落とす)ということをしている。

サワリッシュは、248-9小節をポコ・ラレンタンド(少しだんだんテンポを落とす)ということをした。控え目だから気付かないほどだ。


そしてズービン・メータ、ロサンゼルス・フィルが、248小節でリタルダンド249小節でア・テンポにしている。この頃のメータは向学心があってゆくゆくはフルベンに追いつき追い越そうという意欲があった。やがてニューヨーク・フィルに登り詰めるわけである。


魯山人は老舗は看板を削って商売すると非難しているが、メータはイスラエル・フィルに至ると、それを始めた。もう巨匠だからと何もしなくても拍手喝采だ。老舗看板に依存して、ろくな料理をしないで商売をしている。名演をしているメータがなつかしい。