濃厚な解釈があったハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送響のマーラー2番
第一楽章冒頭から濃厚濃密な解釈をおこなったハンヌ・リントゥの指揮にはまいってしまった。こんな始末で全曲聴かされるのかと思うと、いささか身が震えたものだ。
今夜のベストオブクラシックは、ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団でマーラーの交響曲2番の演奏であった。(2019・1・16)
ハンヌ・リントゥ(1967-)はフィンランドの指揮者である。今どういう理由かフィンランドの指揮者が続出している。マーラーの2番の演奏は極めてヘビーな演奏から始まった。身の毛がよだつ思いで聞いていると、2・3楽章の軽い演奏に救われる思いがした。さすがに第一楽章な重厚な演奏は続かなかった。この演奏の山となった第一楽章を見てゆこう。
第一楽章。
冒頭からハンヌ・リントゥの妖気が漂い始めた。
2小節と4小節は同じ音符だから同じ速度と言うことになるが、リントゥは2小節にアッチェレラント(速く演奏する)に演奏し、4小節でポコ・ラレンタンド(少し遅い)演奏をした。これはaccel記号の所まで続いて、次からアッチェレラント(速度を速める)といった演奏をした。これはユニークな解釈だ。
引き続いた頁で、6小節のテヌート記号で強いアクセントで弾かせ、7小節のディミヌエンド記号の後半でpに弾かせた。9小節の4拍でfに転じて演奏させた。かなり細かい演奏をリントゥはさせている。13小節のオーボエをmfで吹かせてもいる。濃厚な解釈はされに続くのである。
さて一番驚かされたのは、20の前1小節三連音符をポコ・リテヌート(少し遅く演奏)で演奏させ、以下の三連音符はそういう解釈に統一されちるのだが、20の3-4小節の三連音符がかなりテンポが落とされて演奏されるのである。これもユニークな解釈と言うしかないのである。
実はこれは第一楽章のコーダと同じ音型になっている。
練習番号27と同じになっている。
リントゥは、凡百の指揮者は三連音符に引きづられて速く演奏してしまうのであるが、三連音符にアクセントないしはスタッカートが付いていることに着目してマーラーの意図はテヌート記号だと解釈し直して、リテヌート(テンポを落とす)ように演奏させた。
そういうわけで誠にユニークなマーラー演奏であったのである。
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