天才バイオリニスト兼指揮者ゲオルグ・カルワイトとベルリン古楽アカデミーのバッハバイオリン協奏曲2番(3)
第三楽章。
4小節で、カルワイトは符点4分音符にpでさらに<>(クレッシェンド・デイミヌエンド)といった強弱を付けましたが、ゴールドベルクは低弦をテヌートで引っ張るわけです。
この二人は奇妙に同じ箇所で何かをしでかす。つまり才能ある人は魚のいる場所を心得ていて、その場所に来ると釣りの針を落とすわけです。甲乙点け難がたい解釈が出てくる。凡人は魚のいない場所に針を落とす。魚が釣れない。
15小節で、第一バイオリンのトリル記号があるが、カルワイトはどういう理由か、8分音符を16音符2つで演奏するのである。驚きです。
トリルは16分音符2つ、という解釈です。(伏線はコーダで同じことをします。)
モダン楽器ならもう少し小刻みに弾くところですが、古楽ではトリルは2つという見解なのでしょう。(82小節のトリルはそうしない。食えない人だ。)
107小節で、2ツ目の16音符にフェルマータを掛けて長く延すと、トリル記号でカデンズをやっているのがユニークだ。単純な反復ではなくこの音楽に相応しい旋律を作曲しているわけで、古今東西こんな珍しい演奏は他にないだろう。
カルワイトの大天才が弾けた瞬間だ。ぜひCDの発表を希望したい。
次に、114-115小節だ。
この演奏もユニークだ。まあ採譜をご覧いただきたい。カルワイトの面目躍如というしかない演奏である。
そして最後の終結で、トリルを16分音符2つで弾いて終わるのである。
こんな人が名前も知られず存在しているのが不思議である。ゲオルグ・カルワイト、選挙ではないがお見知り置きを。
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