パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

カルテットを通して見えた指揮者ヤフグ・フルシャベートーベン弦楽四重奏曲14番

アナウンサーの話がよく分からなかったのだが、プラハの春開幕コンサートで恒例のベートーベンの第九が指揮者ヤフグ・ヘルシャが招かれて指揮する予定であったが、新型コロナの流行で三密を避けて縮小された結果第九から弦楽四部のカルテットに変更した。


今夜のベストオブクラシックは、ヤフグ・フルシャ指揮チェコ・フィルの弦楽部でベートーベンの弦楽四重奏曲14、16番が演奏された。(2020・4・6)


フルシャ(1981-)は東京都交響楽団の客演指揮者で、日本でも知られたエリシュカの弟子で、現在はバンベルク交響楽団の指揮者という。


ベートーベン弦楽四重奏曲14番。
たとえば第五楽章、テンポ1からイン・テンポに移行する所、テンポ1からイン・テンポに移行する所にritafd.の指定が印刷されている。

テンポ記号のリタルダンドだから、ここからテンポが落とされるわけだ。


ヤフグ・フルシャはリタルダンド(だんだんテンポを落として)の代用としてディミヌエンド(だんだん小さい音で)で演奏した。


これは一つの解釈である。テンポ変更をダイナミクス変更で代用するということはあり得る解釈である。


なるほどフルシャはエリシュカに学んだことが反映していると思った。エリシュカはやはりインテンポの指揮者だった。一貫して一曲でテンポが伸縮しないのをテーゼにしている音楽家なのだ。そこで音楽を演奏して花を咲かせれば良い。


ヨーロッパでは後期ロマン派の爛れた演奏をするブゾーニから楽譜忠実の新即物主義のシュナーベルが出て来るほど奥行きの深い世界だ。日本のように忠実に先生の鋳型を弟子が踏襲する世界とは違う。


エリシュカのようにフルシャが同じ演奏をするのは個人の勝手だが、フルシャの正体が見えた気がした。


そこが良いという人もいよう。お呼びではないという人もいよう。これは人それぞれの好みに行き着いた。エリシュカが指揮すると楽団員が熱狂するという噂を聞いたことがある。楽屋落ちの人か。