交響曲一曲分の重みがあった「エグモント」序曲秋山和慶指揮NHK交響楽団
演奏会の中心が序曲にあった。そういうことは時々あるようだ。ヤニック・ネガ・セガンが、こともあろうにフランクの交響曲を演奏会の最初に置いてウルトラ名演を演奏して自分の異才に気付かない。メインにストラビンスキーの凡演をやって涼しい顔をしているのだ。これを才能のムダ使いというのだが、後でちゃんとフィラデルフィア管のシェフに収まっているのだから、老婆心だったわけだ。今夜のN響のメインは小品「エグモント」序曲にあったと直感した時、それを思い出した。
今夜のNHK交響楽団の定期演奏会生中継は、秋山和慶指揮NHK交響楽団でオールベートーベンの演奏であった。(2020・12・11)
秋山和慶の「エグモント」序曲の比類ない名演奏があった。
まず76小節である。
秋山和慶は、76小節でpにダイナミクスを落とした。しかし79小節のテインパニはfで打たせた。今回の秋山はテインパニはかなりメリハリのある演奏に終始している。
104-116小節のテインパニなどもダイナミクスの指定はないのだが、一貫してfのメリハリのある打ち方をしていた。
184小節のバイオリンで、fに転じて演奏させていた。
278小節のバイオリンで、3拍目の8分音符は4度も下降しているので、一般的には音が弱く演奏させるようになっているのだが、チエリストで指揮者のジャンドロンが反対にアクセントを付けて強く演奏させた。秋山が同じなのだ。
ジャンドロンと秋山の関係は不明なのだが、別のところでも同じ解釈をするのだ。
292-293小節のテインパニでジャンドロンはクレッシェンドを掛けている。秋山は294小節でテインパニに誰にも分かる明瞭さで掛けている。
320,326小節のテインパニで、二人はやはり同じクレッシェンドを掛けさしている。これなどはたまたまの偶然とは思えない。影響はあるのだろう。
秋山の名演はジャンドロンの影響にありと見た。
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