楽譜にない装飾音を多用した飯守泰次郎指揮仙台フィルのベートーベン2番
今夜のベストオブクラシックは飯守泰次郎指揮仙台フィルでベートーベン交響曲2番の演奏であった。(2020・10・15)
第一楽章。
冒頭から独創的な着想が紹介された。
2小節のオーボエで、1拍目に楽譜にない装飾音が付されて演奏された。3小節の最後の8分音符にも装飾音が付された。
飯守は古楽器奏法を解釈のツール(技術)としては使用するのだが、古楽器そのものは使用せず、モダン楽器を使用する。楽譜にない音符に装飾音を付けて演奏させる発想は古楽器奏法の発想なのだが、だからといって演奏としては古楽器は使わないのである。
演奏を面白くするので、これは有りだろう。その点で冴えている。
23-4小節のテインパニの3つの8分音符にテヌートを掛けて演奏させた。これはフルトベングラーの影響だろう。211小節の第一バイオリンの最後の8分音符をpにしているのの2人だ。
ニ楽章。
15小節のホルンで、pをfで演奏させていた。
飯守は日本人としては珍しくダイナミクスの変更を大胆にする人である。
42小節のバイオリンでも、後半をpで演奏させていた。
129-135小節の第一バイオリンで、ff指定なのだが飯守はあえてpで演奏させたために旋律が沈んでしまったのが惜しまれる。
166-173小節のクラリネットでも装飾音符を付けて演奏させたいたが、独創的で感心した。
外国の指揮者でも容易に真似は出来ない。
第四楽章。
334-33小節のテインパニでも飯守はラレンタンド(テンポを落として)演奏された。
こういう卓抜な解釈で、飯守はほとんど欧米の名だたる高名指揮者を向うに回して、ベートーベンの難曲中の難曲を名演に仕立てたと言うことができるのである。
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