パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

おもろい指揮者の無類の田園プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管のベートーベン6番

12月18日(金)朝クラシックカフェの再放送がある。先週のベートーベン「田園」の聴き比べで、朝比奈隆を取り扱ったので、プレトニョフが扱えなかった。そこで今回はプレトニョフを扱って、明日朝実演を聞いていただきたい。


プレトニョフはまずCDを買う予定の圏外の人で、想定外の人で聞くことはない。放送で偶然聞く以外ないのだが、それを聞いた限りでは、広上淳一を2倍濃くした人、プレトニョフを半分薄めた人が広上淳一といったところか。二者いずれにしても才能は有る。指食を誘う人かといえば、その前に旨い物はある。


と思っていたが、食わず嫌いが一掃された。


FMでは、トスカニーニ1952、メンゲルベルグ40、フルトベングラー44、ワルター58、カラヤン62、ベーム71、カルロス・クライバー83と名指揮者名盤が列挙されて演奏が流れた。最後にプレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団2006年の演奏が流れた。


第一楽章。


1-4小節、プレトニョフは、ラレンタンド(遅いテンポ)で演奏を始めて、2つの16音符でさらに遅くなった。ここにラレンタンドしているのはロイブナーN響で、ある面ではプレトニョフは正統派を踏襲しているわけだ。そして5小節からアッチェレランド(加速して)に転じて、かなり速いテンポで演奏している。伸縮(アゴギーク)の鮮やかな対比は素晴らしいというほかない。


たぶん遅く・速くの対比がなされるので、誰にも演奏は分かるはずだ。


11小節の後半でプレトニョフは弦にpに弱めさせているので、fとpの対比も素晴らしいのだ。13小節でここは楽譜通りにfに強めた。15小節のpも楽譜通りだが、テンポはアッチェレランドで速い。


20-21小節は楽譜の指定通りの演奏なのだが、22小節ではpになっている。22小節でpにするのはワィンガルトナーで、ロイブナーもプレトニョフ従っている。


こうみるとプレトニョフの奇妙はわりと正統派を踏襲してもいるわけで、野放図の奇妙奇天烈というわけでもないわけだ。