パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

ベートーベン交響曲9番モントゥ指揮ロンドン交響楽団

    モントゥ指揮ロンドン交響楽団ベートーベン交響曲全集



まず、大晦日ベートーベンの第九に相応しく、今夜のNHKEテレ8時からのクラシック名演名舞台の最後にはN響パブロ・エラス・カサド指揮で全曲が放送される。当日は花を持たせる意味で言及しなかったのだが、第四楽章の冒頭叙奏のアクの強い演奏やソプラノの浪花節をおもわせ歌声はアーベントロートの影響を露骨に受けた名演であった。ぜひアーベントロートのCDを一日楽しんで今夜の一段とした楽しみを期待します。


     アーベントロート指揮ライプツイヒ放送交響楽団ベートーベン交響曲9番


アーベントロートとエラス・カサドの9番トルコ行進曲は凡演であった。ここからベートーベンの第九のトルコ行進曲の話である。


第九の第4楽章に唐突にトルコ行進曲が登場するわけだが、その理由が分からない。謎である。


1.当時ウィーンではトルコ・ブームがあって、ハイドン・モーツアルト・ベートーベン・シューベルトはトルコ行進曲を書いている。流行の便乗にすぎない説。


2.トルコ行進曲は陸軍の行進曲で、これを聞いたヨーロッパ人は恐れ慄いた。何万何十万のトルコ軍の行進を聞いて戦意喪失をした。つまり外敵がヨーロッパを侵略した脅威を連想させた。その実内的のフランス革命がヨーロッパに波及して、王国の危機に瀕していた。革命軍の行進曲が街に及んで、市民はフランス革命行進曲を人間解放と受け取った。ゲーテもヘーゲルもそう受け取ったのである。そのあとに反動が現われて、フランス革命賛歌が出来なくなった。そこでベートーベンも第九の挿入曲にフランス革命行進曲を取り入れると、断圧を食らうことになる。苦肉の策が、内敵フランス革命を外的トルコ軍に変換するアイデアが起きたのである。実はトルコ行進曲はフランス革命行進曲「ラ・マルセーズ」だという説である。いずれにしても旧体制の敵である。


モントゥ指揮ロンドン響のベートーベン交響曲全集のおまけに、モントゥは唐突に「ラ・マルセーズ」を演奏したいと言って演奏させている。それとベートーベンとどういう関係があるのか説明しない。


ロラン・バルトは革命詩人ミシュレ好きには反動詩人ラシーヌは嫌いだという。ラシーヌはルイ14世に愛顧された反動詩人である。絶対王制を賛美した詩人なと素直に読めない。恋愛詩人に変容させてこそ読める詩人だ。この人は革命派の人なのだ。


バカンスは、国中で国歌「ラ・マルセーズ」が歌われるのでそれを聞くのが嫌なブルジョワが海外旅行するので、流行したと言う説がある。


モントゥもまた革命派の人に違いない。ベートーベンを革命音楽家に仕立て上げないと気がすまないのである。


ところでNHKドラマに向田邦子の「阿修羅のごとく」が放送された。トルコの音楽が使用されて評判になった。メヘルハーネ(トルコ軍楽隊)の「ジェッディン・デデン」というトルコ行進曲である。たぶん想像するにハイドンもモーツアルトもベートーベンもこれを生で聞いたと思う。どことなく第九のトルコ行進曲を連想させる。


そこで私案だが、第九のトルコ行進曲を「ジェッディン・デデン」にデフォルメして演奏したいと思ったのだが、モントゥの「ラ・マルセ-ズ」説を聴き及んであっさりと、こちらに転んでしまった。


トルコ行進曲はじつは「ラ・マルセ-ズ」だった。確かに根拠は有る。