モ-ツアルト交響曲29番カプアーノ指揮ザルツブルグ・モ-ツアルテウム管弦楽団
カプアーノ(1968-)の指揮は衝撃的であった。
フランツ・ブリュッヘンを拒否したザルツブルグ音楽祭であったが、モーツアルテウム管が完璧な古楽器演奏に変貌し、(後日のアダム・フィッシャーのジュピターは見ものだ)古楽器奏法の勝利という決着を見た。パウムガルトナー・ワルター・ベーグと続くロココ・モーツアルトは終焉の時を迎えたようだ。ザルツブルグ音楽祭100周年に起きたとは皮肉だ。
今夜のベストオブクラシックは去年夏のザルツブルグ音楽祭から、カプアーノ指揮サルツブルグ・モーツアルテウム管弦楽団でモーツアルト交響曲29番の演奏であった。(2020・8・16)
この演奏はもう一つの聞きどころが、フォルテピアノの通奏低音伴奏である。その割には控えめであった。
第一楽章。
12小節のバイオリンの2拍からクレッシェンドを掛けた。古楽器奏法としては逸脱している。
19小節では前半をf後半をpで引き分けたようだ。それが20小節でも繰り返され、21小節からppに弱められた。
33小節からバイオリンのパートをフォルテピアノ(鍵盤楽器)が伴奏するのである。35小節以下でも同様に反復されるが、もはや我々には驚くに値しないであろう。
53、55小節でも再びフォルテピアノの伴奏は入る。
188小節で、カプアーノは初めてテンポを落としてディミヌエンドをした。
ベームやジャンドロンといった老巨匠連中の伝統的な解釈に追従したというべきか。
さて一番面白かったのがコーダの終結の仕方だった。
一般的には4分音符がありそれを奏して終わる。
しかし管楽器を見ると、楽譜にはタイ記号が付いていて、前の2分音符と続けて、切らないで演奏している。
カプアーノは管楽器のタイ記号に注目して、弦楽器のトレモロ(連続音)を続けさせて終わった。それはカプアーノの創見と言うべきだろう。
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