モーツアルト交響曲41番アダム・フィッシャー指揮サルツブルグ・モーツアルテウム管弦楽団
アダム・フィッシャーの荒れ狂ったテインパニのffの連打は、ザルツブルグを古楽器派に明け渡す伝統派の断末魔のもがきではないかと受け取った。実に聞くに堪えない暴挙であった。フィッシャーの強烈な足音は、会場にいる観客には迫力となって感銘を与えたのではないかとは思われるが、どこか空虚なもがきあがきのようにも受け取れた。
今夜のベストオブクラシックは昨年のザルツブルグ音楽祭から、アダム・フィッシャー指揮ザルツブルグ・モーツアルテウム管弦楽団で、モーツアルト交響曲41番ジュピターの演奏であった。(2020・8・16)
第一楽章。
冒頭の開始も強烈なffで始まった。
9小節以降のテインパニの処理にも激しい物があった。
9小節のテインパニをフィッシャーはffで打たせると、11小節ではppと弱音によわめたのであるが、これはどう見ても理屈が合わない。
13小節ではffに転じ、14小節ではまたppの弱音になるのだ。
フィッシャーの粗雑な考えと強烈な大爆発音とが交差して、空振りが目に付いた。
81小節のテインパニなどもかなり強烈なffで打たせていた。
問題はそれが空振りに終わっていわしないかということである。一見ではダイナミックな演奏にも見えるわけである。
第四楽章。
コーダで、大きなリタルダンドを掛けて終わった。これは良かった。唯一の感心したところだった。
これはローゼンストック指揮NHK交響楽団の演奏だ。彼の厳しいジュピター演奏は非常に感銘を与える。そしてその終わり方にも感銘があった。アダム・フィッシャーがローゼンストックと同じやり方をしたことが、今回救いがあった。
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