パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

ブラームス交響曲2番メータ指揮ロサンゼルス・フィル

近年枯淡の境地に深入りするメータに非常な危険性を感じているのだが、今回は匠の技が発揮されて一安心している。第一楽章が名演であった。トスカニーニ指揮NBC交響楽団1952年の永遠の古典的解釈を踏襲したもので、フルトベングラーから離反してトスカニーニかよと文句を言いたいが、名演に免じて許しましょう。


今夜のベストオブクラシックは、ズービン・メータ指揮ロサンゼルス・フィルでブラームス交響曲2番の演奏であった。(2018・12・15)


第一楽章。
281-282小節のテインパニで、メータは独自の解釈を示して光った。

ここはトスカニーニ指揮NBC交響楽団1952年の演奏で、280小節以降トスカニーニの独自の解釈をテインパニに施しているのである。メータは281小節の最後の8分音符にアクセント掛けた所を頂いて282小節のffを強調した。それだけにトスカニーニよりも効果があった。「はっ」とする何かメータは変なことをやったという衝撃が走った。面白い。


そういう演奏でした。


次に、327、335小節でメータは低弦に衝撃的なクレッシェンドを掛けたのが素晴らしかった。

327小節の低弦の上はフルートが旋律を開始する所だ。この低弦の凄まじいクレッシェンドが光っていた。メータ独自の解釈だ。それは335小節でも反復する。


第三楽章。
125小節の木管で、メータは3つの4分音符にリタルランドを掛けて、次第にテンポが大きく落ち込みをした。

ここも色々な指揮者の解釈の見せ場になっている。メータと同じ解釈はフルネではなかったろうか。


第四楽章。
122小節のテインパニである。

メータは1拍目にテインパニを加筆して打たせて、一安心した。もしそうしなかったら、メータはボケが出たと言い切りたいからだ。まともな指揮者ならそうする箇所である。


ということで、老巨匠の明察を聞けたので良かった。