ラベル「ダフニスとクロエ」第二組曲アンセルメ指揮NHK交響楽団
ストラビンスキーも指揮者としては古いタイプの指揮者で、モントウやアンセルメなど、新時代の音楽を開拓した割には指揮者としては十九世紀の音楽語法を引きずって演奏している。人間はなにもかも新しいずくめにはいかないようだ。アンセルメなども古い音楽語法で演奏していて、今となってはそれが味になっているともいえる。現在の指揮者には出せない味がするわけである。
今夜のN響ザレジェンドは、アンセルメ指揮NHK交響楽団でラベル「ダフニスとクロエ」第二組曲の演奏であった。
第二組曲。第二曲「パントマイム」の長く超絶的なフルートのソロで、もはやアンセルメでなければ聞けない解釈があった。181小節だ。
フルートの後半の三連音符に、アンセルメは大きなリタルランドを掛けて、間を置いて182小節に入ったのだが、こういう解釈はもう誰にも求められないものだ。
そういうことでは、194小節のトランペットに独自の解釈をアンセルメは与えていた。
194小節では、3つの4分音符にテヌートを掛けて幾分テンポをもたつかせてえんそうして、195小節のクレッシェンド記号の所から反対にppという弱音に演奏させていたのには驚かされた。
さて、余談だが島崎藤村が1912年パリでこの再演を聞いているのには驚かされる。随所に芥川也寸志の種本が散見するのだが、ラベルは割合日本人好みの音楽ではあるのかも知れない。
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