リムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」ブラギエ指揮スイスロマンド管弦楽団
リオネル・ブラギエ(1986-)は、2005年ブザンソン・コンクールの一位だそうである。この曲の総ての壺を押さえたわけではないが、要所要所は押さえていたので、まずは成功の部類であろう。ストコフスキーの演奏がリーディン・ケースになっているようで、その通り再現されているので、手腕が語られていることになる。
今夜はリムスキー=コルザコフ「シエヘラザード」のブラギエ指揮スイスロマンド管弦楽団の演奏であった。(2019・10・15)
最もニュアンスの発揮された第二楽章「カランダール公の物語」を見てみたい。
10小節前後ファゴットの演奏であるが、ストコフスキーはラレンタンドとア・テンポとを組み合わせて巧みな演奏の伸縮を(アゴギーク)を駆使させているが、ブラギエはそれを踏襲していた。
66小節の第一バイオリンで、クレッシェンドの掛った2つの8分音符をリテヌートにして、大きくテンポを落とさせているのがストコフスキーで、ブラギエもそうしていた。
もちろんfで強く演奏していたことは同じだ。
118小節の金管だが、コンドラシン(ウィーンフィル)がテンポを落として演奏していたが、ここはブラギエが踏襲していた。
366小節のピッコロで、ストコフスキーがリテヌートを掛けてテンポをおとしたのであるが、ブラギエもそうした。
391-392小節の第一バイオリンでは、音型は全く同じ所で、ストコフスキー、コンドラシン、そこへ今度は朝比奈隆(大阪フィル)が加わって、大胆なリテヌートを掛けてテンポを落とす演奏をしているわけである。
三人の巨匠にブラギエが参上しているわけだから、まったく正統派なのだということになる。
以上第二楽章を見てきたわけだが、さすがにブラギエは全部を拾えない。楽譜にない指揮者の手腕が見せ所となる曲で、まずまず要所は拾って再現しているというところか。
三人の巨匠はこの曲の随所にこれでもかという自分の引つ掻き傷を残すので、若手としては面倒臭い曲にはなっている。追いつけないのである。
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