ベートーベン交響曲7番クルレンツィス指揮ムジカエテルナ
噂の俎上にのったクルレンツィス(1972-)はエキセントリックな指揮者ということである。2019年初来日、2020年の来日は中止、今が旬の指揮者というのは正しいようだ。今日のクラシック・カフェは、多分初紹介の演奏ということになろう。ベートーベンの7番は2018年の録音だから新譜とは言える。
噂のようなエキセントリックさはないように思う。べらぼうな速さというのもなかった。意外に正統派の指揮者の演奏であることが分かった。
第一楽章。
4小節のオーボエで、後半でディミヌエンをしていた。
32小節のクレッシェンド記号でfに転じているのはしごくまっとうな演奏である。
さて、58小節のフルートでワインガルトナーとクルレンツィスがテンポを落としてリテヌートにしていた。
ワインガルトナーとクルレンツィスの繋がりが此処で出てきたのだが、それはフィナーレで驚くべき関係が出てくる。
第四楽章。
36-51小節の第一バイオリンで、クルレンツィスはfとpの組み合わせの演奏をしている。
40小節でfに41-43小節でpに演奏させるのであるが、これが4回反復されて演奏されるのである。極めて特長のある演奏である。
40小節と44小節で、第1拍目にアクセントを付けて演奏させているのがワインガルトナーで、クルテンツィスがそこでfで演奏させているのはワインガルトナーのアクセントの影響である。
最大の驚くべき発見があった。129-143小節のクルレンツィスの演奏は最大のエキセントリックと称されるもので、極めて長く引っ張られた音の長さは一見異常とも見える。
クルテンツィスは5回にも及ぶ異常な音の引っ張りをするのだが、実はワインガルトナーが実演では実践していないのだが、有名な教則本でテヌートで演奏しろと教えている箇所なのだ。
おそらくそれを実行したのはクルテンツィスが最初ではあるまいか。
ワインガルトナーの提案なのだ。
意外にクルテンツィスは正統派なのが理解できる。
さて最後に、コーダで、クルテンツィスの452小節のテインパニのsfの強烈な音に堪能して欲しい。
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