ベートーベン交響曲6番アントニ・ウィト指揮NFMウロツワフ・フィル
この人は一時期は日本に頻繁に来た指揮者であった。1980年代の名演とはこういう演奏を言うのだった。そういう点では目を洗うような名演であった。ピリオド奏法にうつつを抜かしている間に根本的なものを忘れてしまった現代の演奏。この演奏にはピリオド奏法の微塵の影響もないのである。ヨーロッパの周辺にあるおかげでピリオド旋風に影響されずに1980年代の演奏法が生き続けていたというべきものだ。改めて新鮮だった。
今夜のベストオブクラシックはベートーベン交響曲6番アントニ・ウィト指揮NFMウロツワフ・フィルハーモニーの演奏だった。
第一楽章。
冒頭の4小節の第一バイオリンのラレンタンド(次第にテンポを落とす)という定石の演奏も懐かしい。
アントニ・ウィトはオーソドックスな演奏を定石通りに演奏するという、今では考えられないような貴重な指揮者になった。
75-78小節の第一バイオリンとチェロで、ウィトは対位法的な処理をして、2つの声部を同等の音量で演奏させていた。
そういう古典的な演奏が出来る指揮者がほとんどいなくなってしました。
第四楽章。
例の古い指揮者のテインパニの修正だが、アントニ・ウィトは躊躇することなく踏襲していた。
こういうことをする指揮者は今では少数派である。だが未だに頑なに守っているというのがいい。
ということで、今では絶滅危惧種の古い指揮者の名演奏を紹介した。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。