パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

あなどれないシモーネ・ヤングの第九演奏

今夜は、シモーネ・ヤング指揮N響で第九の放送がNHKEテレであった。FMでは放送されなかったような気がするのだが。(2019・12・21)


この人は楽譜を忠実に再現しているように見えて、意外に楽譜をいじっている。そこがいい。


第一楽章の213-215小節の木管で、楽譜はリテヌート指定があるが、215小節まで延ばして、216小節でア・テンポ(元の速度に戻す)していた。


同様なことは、506-512小節の再現部でもやっていた。


274小節の弦と木管にラレンタンド(速度を落とす)をして、275小節でア・テンポにする面白い解釈をしていた。楽譜をよく見るとpp指定になっていて、弱音ということがテンポが遅くなると解釈したわけだ。


この解釈はあなどれないものを持っている。


第二楽章の352小節のテインパニに、346小節の音型を加筆して打たせていたので、シモーネ・ヤングがベーレンライター版の楽譜を使用していることが判明した。


ベートーベンの第九ではベーレンライター版使用の演奏は結構珍しいのではないかと思う。


さて第四楽章の526-540小節のホルン・ソロで、独特な解釈があったように思うのだが、テレビが音源なので判然としない。


この人はフルートの高音を明確に演奏させて冴えを見せたが、とりわけ木管の扱いに独特の冴えを示した。