パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

開かずの金庫から金瓶ローゼンストックの黄金色に輝く第二番

今年はベートーベンの記念年。初っ端から開かずの金庫から金瓶が出てきた。おそらく数多の珍品が続出するベートーベン記念年。これ以上の掘出物はあるまい。この演奏は金無垢の金瓶です。


ベートーベンの交響曲第二番。通説では二番から三番に天才の飛躍がある。しかしハイドン風の一番から三番の前哨戦である二番への飛躍が、天才の飛躍だと見るむきもある。もう二番はまるでベートーベンに成っている。そういう予感を十分感じさせるのがローゼンストック指揮N響(1957年2月)の演奏だった。ブゾーニはシュナーベルにお前の頭は子宮から十分出ているぞ、と一人前のピアニストに成ったことを祝ったと言う。二番はまさにベートーベンの頭が露出したのである。つまりベートーベンの個性が出現したのだ。


ローゼンストックを二流指揮者とは言わせない、というものがあった。第一楽章冒頭からして尋常でない。


ローゼンストックは、2小節のオーボエで、下声部だけを演奏させていたが、これは彼だけの解釈ではないか。そして1小節の1拍の後でブレス(間)を入れ、2小節でブレス、3小節1拍の後でブレスを入れていた。十分聴きごたえのある演奏になっていた。


12小節、24小節の縦線でも大きな間を入れていた。


そして106小節のバイオリンの4拍目かたffにして強奏していたことが目立つた。



211-212小節の弦で、ffからppに弱奏させていた。これはワインガルトナーの影響で、マタチッチなども踏襲している演奏である。


第二楽章。
229-230小節の第一バイオリンで、ローゼンストックは珍しくポコ・リタルランドを掛けて、少しテンポを落とした。

この時代では1番2番はマナイナーな交響曲で、小規模で室内楽的に演奏されるのであるが、ローゼンストックはアグレッシブに大きな音楽として表現している。


もう2番はベートーベンが現われていたのである。3番はただ単に洗練されたに過ぎないという過小評価の見方も出来るわけである。