パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

神技のアンサンブルだユロフスキ指揮ロンドン・フィルのチャイコ6番

この人は今回は楽譜に一事も手を加えなかった。アンサンブルに徹した演奏だった。相当ロンドン・フィルの楽団員をしごき上げたようだ。何十回も練習したのであろう。完璧にミスがない演奏になった。ライブでミスのない演奏なんてありえないのだ。それをやり通したのがウラディミール・ユロフスキの指揮であった。


後日CDになる予定の演奏なのかも知れない。それほど完璧な演奏を期した演奏だった。そこを味わなければならない演奏だった。


今夜は、ユロフスキ指揮ロンドン・フィルでチャイコフスキーの交響曲6番「悲愴」の演奏であった。(2019・9・27)


第一楽章。
160-161小節の、ファゴットのppppppとテインパニのffの対比こそ見物になった。


度台実際にはファゴットにpが6個の弱音など出せるわけがないのだが、大ホールで最大弱音をファゴットに出させて、これをテインパニのffと対比させたところに音の魔術師ユロフフキの新面目があったようだ。


そういう趣好は、325-334小節のクラリネットとテインパニの対話にも現われていた。


9小節にわたってクラリネットとテインパニがPPPPの弱音で大ホールで掛け合いの演奏をするのだが、実際はそんな弱音では出来ないだろう。しかしユロフスキは絶妙な音をテインパニに出させていた。堪能させられた。


本当はライブでは尋常でない完璧な演奏とアンサンブルに徹した演奏を楽しむべきであろう。スノッブな聴衆として知られたロンドン市民は第三楽章で拍手をしてしまったが、ビジュアルなユロフスキの指揮振りに興奮してしまった魔力のなせる技であろう。