チャールズ・ローゼン以来の碩学の演奏ホグウッドのベートーベンピアノ協奏曲4番
ベートーベンのピアノ協奏曲4番のピアノ独奏の冒頭で、アルペジオが鳴って第一番に連想したのがバックハウスだ。尋常でない演奏はここから始まった。チャールズ・ローゼンを彷彿とさせる語り口は単なるピアノフォルテ奏者の術でもない。ペザイデンホウトの異彩はそんなところから輝いた。
今夜のN響レジェンドはホグウッド指揮NHK交響楽団によるベートーベンのピアノ協奏曲4番であった。(2009・9・9)
第一楽章。
ペザイデンホウトはバックハウスの人柄も彼のお気に入りの音楽であることは既に知っている。あえてそこにアルページオ奏法をぶつけたのはバックハウスへの尊敬であろう。そして19世紀のピアニストが意外に18世紀の語法を継承している事への啓蒙でもある。古臭いとは言わせない。
今回アルページオ奏法の多様を心がけたのはそんなところにある。225小節の2拍目もアルページオ奏法があった。
注目すべきは、346小節のカデンツであった。
ペザイデンホウトは長い自作のカデンツを演奏したが、それで思い出すのはチャールズ・ローゼンのカデンツである。アラウは自作の小カデンツを演奏するということだ。
第二楽章。
6-13小節のピアノ・ソロで、ペザイデンホウトはアルページオ奏法を多用していた。
この後、20、32小節でも使われた。62-63小節もどうようであった。
第三楽章。
499小節のカデンツにも言及しておこう。
このカデンツは、バックハウスのカデンツがあり、ベザイデンホウトもカデンツを演奏している。これで二人の関係性も知れようというものだ。
指揮者のホグウッドにあまり触れられなかったが、487-491小節のティンパニのバドウダ=スコダの校訂版は不採用である。しかし42小節のトレモロの音が聞こえるから、こちらは採用しているようだ。
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