パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

アルペジオ三題噺

この三日間アルペジオを考えさせる名演をたて続けに聞いた。最初は、ベザイデンホウトとホグウッド指揮、二番目はアックスとハイティンク指揮、三番目はレーゼルとブラニー指揮のものだ。アルペジオ革命の提唱者、オーソドックスの世界での承認、実験的演奏を芸術的演奏にまで高めた演奏の三態であった。


土曜日N響レジェンド   ベートーベンピアノ協奏曲4番(2009)
日曜日クラシック音楽館  ベートーベンピアノ協奏曲4番(2019)
月曜日音楽の泉      モーツアルトピアノ協奏曲17番(2015)


アルペジオとは、一般にギター演奏で、上弦から下弦に弾き下げられる演奏のことだ。ピアノでは分散和音は10本の指で同時に弾けるから、アルペジオはない。それが盲点だった。


楽譜に記載された分散和音を同時に弾いたのが誤まりであった。


モーツアルトやベートーベンは楽譜の音符通りに弾いてはいけないのだ。分散和音は下から上に時間差で弾き上げなけれはいけないのだ。(つまりアルペジオ)
 と、気付いたのがホグウッドだった。


アックスは10年後それを非古楽器派のピアニストとして承認したわけである。もっとも冒頭だけアルペジオで弾いただけだったが。


ここではモーツアルトのピアノ協奏曲17番を詳細に見て行きたい。


第二楽章。
35小節。

この分散和音をレーゼルはアルペジオで弾いている。
95小節。

やはりこの分散和音を同時に弾くというよりは、下から上に時間差を出してアルペジオで弾いた。
122小節からのカデンツでも、アルペジオ奏法があった。

フィナーレ。
245小節。


ペーター・レーゼル(P)
ヘルムート・ブラニー指揮ドレスデン歌劇場室内管弦楽団
(KINNG RECORDS KIGC21)


今後モーツアルトのピアノ協奏曲はレーゼルの演奏がスタンダードになるであろう。