大暴れしたフルネ指揮N響のブラームス2番
前半は無地のまま、後半は一転して大暴れしたフルネのブラームス交響曲2番の演奏であった。ということは勉強不足で、後半に命を懸けた。自分の色で日本のオーケストラを染め上げることに成功した。ヨーロッパではこういうことが許されなかったわけでもある。日本に命を懸ける契機となった画期的な演奏であった。
今夜のN響ザレジェンドは、ジャン・フルネ指揮NHK交響楽団でブラームス交響曲2番の演奏であった。
第三楽章。
33小節からプレスト・マ・ノン・アッサイに入るが、35小節からフルネは突然異常な速さのテンポになった。フルネの大暴れが始まった。
125小節では、rit.記号に対応して124-125小節で大きなリタルダンド(テンポを落とす)をおこなった。
フランス人のフルネとしては珍しい解釈であろう。
126小節ではア・テンポ(元のテンポに戻る)だから、一層の効果があった。
第四楽章。
122小節でテインパニを加筆して演奏させた。それでシューリヒトはフルネはフランスで最もドイツ的な指揮者だと言ったことを思い出した。むべなるかなだ。
203-205小節も、フルベンはラレンタンドでテンポを落とさせたが、フルネはこの解釈を踏襲していた。
並みのフランス人指揮者にはできない芸当だ。
さて234-243小節、10小節にわたって大きなラレンタンドを掛けてテンポを落とさせたのには驚いた。
フルネはN響を己の色に完全に染め上げたわけで、この自信は日本のオーケストラを縦横に駆使して晩年の独壇場にした画期的な演奏になった。
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