パスカルの葦笛のブログ

クラシック音楽のテレビやFMの放送からその演奏を視覚(楽譜)で再現します。後から読むだけでどんな演奏だったか理解出来ます。

フルトベングラーを模写したフィナーレのコーダの度迫力下野竜也指揮N響シューマン4番

フルトベングラーを模写したフィナーレのコーダの度迫力は十分評価できる。相当N響の拒否反応があったと思う。下野竜也も十分な巨匠クラスに成長した結果、今そういう我儘が通用出来るようになったわけである。今後もフルトベングラーを模写して欲しいものだ。


今夜のNHK交響楽団の定期公演ライブは、下野竜也指揮NHK交響楽団でシューマン交響曲第四番の演奏であった。


第一楽章の42小節の3つのアタッカはポコ・リタルランドで、壺は良いがこじんまりし過ぎはしないかという危惧があった。ポコは取れとと提言したいほどだ。


第四楽章。
165小節の3つのアタッカも同じように、壺は良い壺を押さえているが、ポコ・リタルランドではこじんまりし過ぎはしないかという不満が残る。


さて、203小節で下野竜也は突然開眼した。



203小節のテインパニの2つの8分音符をffでリテヌート(テンポを落として)で演奏させたのである。


ここはいわばフルトベングラーのシューマンの演奏の最大の胆であると言っても過言ではない演奏である。凡百の指揮者は同じことが出来る能力が有るか無いかを別にして、気恥ずかしい気持ちになって避けてしまう。


下野竜也の偉さは、気恥ずかしい気持ちを押し堪えて、フルトベングラーの演奏をNHK交響楽団で模写する決心をしたことだ。結果下野竜也はフルトベングラーに成った。フルトベングラーの霊が指揮台の下野竜也の身に降霊したと言うべきだろうが、技術で再現したまでの話だ。フルトベングラーと同じ技術を使用して再現したのだ。彼はそういう能力を持つたと言えるわけだ。この点を評価したいのである。