ファゴットの名手を得て乗りに乗った大野和士指揮スイス・ロマンド管弦楽団のブラームス大学祝典序曲
フランスのファゴットは楽器も演奏法も違っているらしいのだが、スイス・ロマンド管弦楽団のファゴット奏者はフランスの名人らしい。音色は黄金のが鳥の鳴く声と称されているが、まさしく黄金の音色だった。
今夜のベストオブクラシックは、大野和士指揮スイス・ロマンド管弦楽団でブラームスの大学祝典序曲の演奏であった。(2020・2・12)
10-13小節のファゴットを、大野和武士は11小節からmfにして、12小節からfで演奏させて、ファゴットの音色を際立たせた。
スイス・ロマンド管弦楽団といえばアンセルメの薫陶したスランス屈指の名門オーケストラであるが、アンセルメ没後の凋落たるや目をおおうものがあったが、その絶頂期の音色が蘇ったと言える。大野和士の薫陶があったと思う。
30-35小節のファゴットの筆舌に尽くせない美しい音色の饗宴は白眉ですらある。
この後42小節から大野和士はバイオリンをfで強調したのであるが、これもまたすこぶるつきの名演となった。
157小節から、例の有名な受験放送のテーマ曲となったメロディーがファゴットので演奏されるのであるが、これまた素晴らしい音色で演奏された。
スイス・ロマンド管弦楽団の魅力が引き出されたかたちになった。
250小節でpで演奏し、253小節後半でfで強めた大野和士の解釈の深さはもう尋常の水準ではなく、歴代の巨匠クラスだと言えよう。
現代の有名な指揮者といえども、そうおいそれと解釈出来るものではないのである。大野和士はそういう領域に到達しているということが判明する。
さて、ドボルザークの交響曲7番がメインで演奏されたわけだが、誰をしても名演を引き出せないのは、根本的には楽曲に欠陥があるということか。小さな序曲に演奏会の頂点があったということは大野和士に責任があったということにはならないのであろう。
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