世界の最先端のモーツアルト解釈山田和樹指揮横浜シンフォニエッタ
日本から世界に発信するということはありえないわけだが、その例外が宇野功芳や山田和樹のモーツアルト解釈であった。メヌェットでの山田の装飾音符の演奏は世界の最先端のモーツアルト解釈であった。
今夜のNHKFMのベストオブクラシックは、山田和樹指揮横浜シンフォニェツタでモーツアルトの交響曲第36番、第39番の演奏であった。(2019・3・14)
モーツアルトの交響曲第39番は金無垢の名演として燦然と輝いた。
第一楽章。
まずあげねばならないのは、227小節の解釈であった。
山田はここでリテヌートを掛けてテンポを落とした。これには先例があり、ホネック指揮名古屋フィルの演奏だ。これまた名演であったことは言を待たない。
第二楽章。
95小節後半でも山田はリテヌートしてテンポを落とした。
第三楽章。
注目すべきはメヌエットであろう。
24小節で、ボルトン指揮ザルツブルグ・モーツアルテウム管は、23小節でデイミヌエンドしてから24小節でppmfといったダイナミクスを取っていた。これと同工異曲が宇野功芳指揮アンサンブルSAKURAの演奏だ。(2003・8・9)二つの八分音符をリタルダンドで落とした。ボルトンはテンポを変えないで効果をダイナミクスで出すという意図である。17年前に宇野がボルトンのような解釈を提出しているわけである。
さて山田和樹は、トリオでクラリネットが反復する箇所で装飾音符を演奏させている。さらに次で奔放な装飾音符をクラリネットに演奏させるわけである。
印の付いた1拍目でクラリネットが装飾音符を演奏する。
他に類例がない演奏で、日本から世界に発信している。宇野や山田の解釈は物まねではなくオリジナルを最先端で発信しているわけである。日本もとうとうここまで来たのである。
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